2018年 09月 11日
超富裕層が多い都市 |
*ここでの超富裕層の定義は33億円以上の資産保有を指します(個人か世帯かは不明なものの、人数とあるので、おそらく個人かと思われます)。
さて、近年の日本の状況を踏まえると、地盤沈下しているようにも感じますし、相対的にアジアの国々が高成長を継続する中、日本は低成長を20年間継続しています。日本に対して悲観的な意見も多々聞かれる中、富裕層が増加していることは多少明るい話題と言って良いのかもしれません。ただ、一方でこちらは「絶対値」に過ぎないため、割合にすると、もしかしたらランキングに入らないレベルと言えるかもしれません。というのも、人口ベースで見ると、東京は世界一多い都市であるためです。一方で、東京の5分の1から6分の1しか人口を保有していない香港が世界で最も超富裕層を抱えており、その人口は約1.5倍に当たる1万人にも登ります。香港は税率が低く、タックスヘイブンを求める富裕層にとっては好都合の街と言えるだけでなく、既に実質的なアジアの金融センターになっていることや法人税の低さ・キャピタルゲイン課税が0であることなど、様々な要因が超富裕層を惹きつけているように思います。また、それだけでなく、現地民で保有資産の値上がりで資産が膨張した人も多くいると言えるかもしれません。税金や金融機関で働くと言った観点では、Attractiveと言える環境だと言えるかもしれません。
学生時代に香港のインベストメントバンクでインターンしていた際は「バブル」と言えるようなレベルで会社がお金を使っていたように思います。初日からラグジュアリーホテルや著名企業が多々入居するビルでシャンパンパーティーを行い、空港からホテル、ホテルとオフィスの送迎をしてくれたり、宿泊施設としてラグジュアリーホテルを提供してくれたり等、まさに至れり尽くせりと言った状態であったように思います。就職前の学生時代としては良い思い出と言ったところでしょうか。貰える給料は破格、取られる税金はほぼ無いと言った状況であったように思います。学生時代は良いものの、社会人になると、様々なことが見えてくることもあり、環境としては「まぁ微妙」と言った側面は否めないように思います。微妙な側面といえば、国土面積や文化と言った部分が挙げられます。また、トレーダーやアナリスト以外は別に中国語のネイティブでもなければ、中国人の大富豪みたくコネクションがあるわけでも無いので、働くと言った観点からは日本語を使う仕事を除き、シニアで活躍することは困難な気がします。それにIBD部隊が東京と比較し、会社によって程度の差はあれど、2倍ほどの規模があるとはいえ、ロンドンやニューヨークのようにファイナンス面で卓越した技術などが香港から生まれているわけでも無いように思うので、個人的にはヘッジファンドに働く場合を除き、相対的なプライオリティは低いと言えるかもしれません(ちなみに、野村は香港に行きやすかった気がします)。
話は戻りますが、超富裕層が多い都市としては、2位にニューヨーク、4位にLA、5位にパリ、6位にロンドン、7位にシカゴ、8位にサンフラ、9位にDCと言った形になります。当然ですが、アメリカが強く、それ以外はヨーロッパのパリやロンドンとなっています。意外と、中国の都市が出てきておりませんが、超富裕層の定義ではまだまだトップ10には入らないようです。ただ、ビリオネアという観点からは北京が世界一多く、今後は超富裕層になるポテンシャルがある層が多くいるように思います。北京や上海(ワンチャンで深セン)と言った中国の都市が入るのも時間の問題かもしれません。
正直なところ、お金を稼ぐということに限れば、自国で有利な立場でお金を稼ぐのが良いと言えるかもしれません。敢えて自分がビハインドした状態から戦う必要性は無いように思います。世界の中で治安が良く、文化があるような都市で生活できて、稼げる国は数えるくらいしかありません。その数える程しかない都市で有利な立場で戦えるのであれば、その優位性を享受する方が良いように思われます。生活する中でロンドンは個人的には最高の環境でしたが、Brexitというイベントが待ち構えている状況で不確実性が高く、また、アウトルック的にはそれ程良い状況には見えないように思います。現在Brexitに際し、EUとの合意形成が上手くできていない中での英国は魅力的とは言い難い面も正直否めません。少なくとも、個人的には「今ではない」と言えるように思います。一方、教育機関としては引き続き世界の中でも高いランキングであり続ける可能性は高いように思いますし、少なくともその他ヨーロッパと比較すると、英国は先進性、人材の質の高さ、文化・芸術のレベルの高さなどもありますので、ヨーロッパや北米を旅行する中で「自分がどれだけ恵まれた環境で生活できているか」を日々実感していたように思います(以前のブログにもそう書いているはずです)。ここは個人的な意見に終始する為、様々な意見があるかと思いますが、ヨーロッパ人の感覚とさほど変わりがないように思います。
超富裕層の多い都市で日本の2都市が上がりましたが、それ以外の都市の居住を考えた場合、個人的な好みになるのかもしれません。MBAの後はどこにリロケーションしようか、また、MBAは英米のどちらになるか、その程度でしょうか。最終的には日本に戻ることになるのかもしれませんが。人生はどうなるかわからないですね。
by lse_keio_sfc
| 2018-09-11 19:09
| 国際関係
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