2017年 03月 01日
投資銀行とコンサルの違い |
PEに行く前に可能な限り戦略コンサルも経験した方が良かったかなと思うこともあります(あとは事業会社での経験)。それは、企業価値向上という視点ではコンサルも投資銀行も同様に最も意識する部分ではありますが、コンサルはP/L側、投資銀行(部門)はB/S側で全く違うことを行っていると感じます(観点によりますが)。投資銀行は、長期的視点に立ち、ROEにできるだけ負のインパクトを与えない形でどう資金調達するか?といった観点も一つあるかもしれませんし、キャッシュフローを伸ばすためにどう投資するか?という観点も一つあるかもしれません。これらは企業価値向上の一つですが、経営という視点からは近いようで遠いかもしれません。しかし、このファイナンス視点がなければ、経営が立ち行かなくなる事例も多いように思います。
一方で、コンサルの場合ですと、短期的視点に立ち(もちろん長期もあると思いますが、投資銀行との単純比較のためとP/Lのマネジメントという性質から)、クライアントの要求に合わせて、いかにSalesやEBIT、EBITDAを伸ばして行くか?というところが主になるのかなと思います(機能が明確に分かっている方がいらっしゃればご教授願います)。その理由としては、Sales、EBITDA、EBITを伸ばし、FCFを増加させることが企業価値向上に寄与すると考えられるためです。企業価値を伸ばすには、(1)ROE的視点で考えると、ROS、総資産回転率と財務レバレッジの掛け合わせで決まります。つまり、収益性を向上させ、資産効率を高め、負債の積み増しによって自己資本を抑えることにより、ROEの数値を改善することになります(ROSと総資産回転率はコンサル中心の役割で、財務レバレッジは投資銀行中心の役割と言えるかもしれません)。結果、企業価値が向上するという考えもあるでしょうし、(2)将来キャッシュフローの視点で考えれば、Sales、EBITを拡大させることが大事であるように思いますし、運転資本を減少させ(可能な限り買掛金を増やし、売掛金を減らす等)、設備投資のマネジメント(これも一概に増減させるべきとは言えません)をどうするかによって、当然かもしれませんが、FCFの数値も変わってきます。P/Lのマネジメントにより、FCFを増加させ、次の年の業績を改善できるように持って行く。というのが財務視点で見たコンサルの役割であるように思います。
これらはコーポレート・ファイナンスの視点からざっくり述べましたが、単純比較のために行なっている次第で、実際に業務内容を考えると、より違いが鮮明に出るように思います。投資銀行はエクセル、コンサルはパワポが中心であるように思いますし(もちろん両方ともエクセルもパワポも使いますが)、投資銀行もコンサルもジュニア(コンサルはジュニアと呼ばないかもしれませんが)は分析中心ですが、見ているポイントは当たり前ですが違います。例えば、市場分析の場合でも、投資銀行は場合にもよりますが、サラッと公開情報をサマライズするのに対して、コンサルは場合にもよりますが、より深く分析しているように思います。投資銀行は作業的ですが、コンサルはより思考が必要な業務であるとも言えますので、様々な違いが浮き彫りになるように思います。その点でコンサルも理解していた方が良かったと思う次第です。
話題とは関係ありませんが、よく私が面接で使用していたのは、M&Aの話です。例えば、投資銀行のM&Aは「エグゼキューションが必要」という視点から始まるのに対して、コンサルは「そもそもM&Aが必要なのか?」という視点から入るので、自分は〇〇から入りたい。という風な言い方をしていたように思います(もちろん他にもたくさんバリエーションはあります。)。両方受けているとよく、「投資銀行とコンサルの違いは?」みたいな質問はよくされると思いますので、チェックした方がいいかもしれませんね。単純な違いとしては、上記のB/SとP/Lでの違いについて述べればいいですが、ファンダメンタルな部分が分かっていなければ、特にコンサルの場合は必ず突っ込まれるので(例えば、「投資銀行でもP/L見るよ」的な)、話題として出す場合には当然ですが、話の根拠も必要です。
最後らへんは話がずれてしまった部分がありますが、コンサルと投資銀行の役割の比較をして見ました。もちろん、私も分かっていない部分が大半だと思いますので、その点は御了承いただければ幸いです。
by lse_keio_sfc
| 2017-03-01 18:18
| 仕事
|
Comments(0)