「こんな提案書、見てられるか!」新卒外銀での過酷な日々」を読んでいて、感じることが全く同じなのと、IBDで起こることはどこも大差ないというのが両方ありました。まず、投資銀行部門に入ると、必ずと言っていいほど仕事のレベルの高さに面食らいます。今まで何処に行っても許されていたはずのクオリティで出したとしても、「使えない」という一言で終わります。たった一年しか差がなくても、その一年が致命的な差をつけているのだと、肌感で感じることになるのが投資銀行部門の世界であるように思います。
私が以前書いた
サマーインターンに向けたTo Doにも書きましたが、何も知らない人が入ると、確実に投資銀行部門の業務は想像を超越するレベルです。M&Aの場合は、短期ジョブ的な国内のものをやっていれば、そう変わるものでもないように思います。ただ、求められるレベルは明らかに高いので、インターンで作ったレベルのまま出した場合、資料はゴミ箱行きで済めばいいですが、そもそも見てもらえないように思います。で、最初に作ったクオリティでジュニアバンカーに見てもらうと、赤入れして戻ってくるわけですが、その後にもらえる評価で「資料のクオリティが低い」というフィードバックが来ることになります。
また、英語ができない場合は(TOEFL100くらいで留学1年経験した程度)、「英語ができない・表現が幼稚」などのフィードバックがきます(何故かネイティブばりにできないと全てが否定される)。と思えば、全く英語ができない人間が何故か普通に業務をしている(しかし、クロスボーダー関連では何故か名前が全く上がらずスルー)。つまり、基本的に全ての評価が「ゴミ」と言われているに等しい状況となります。自分だけと思いきや、周囲でシニアバンカーに資料を叩きつけられるジュニアバンカーがいたりします。使えないと評価を受けているジュニアに対して、他のジュニアが「あいつは使えない」と言ってバカにしているのもIBDの特徴かもしれません。また、できる奴がいると、自分の地位が危うくなるため、その際には「なんだあいつ、調子乗ってるな」みたいなことを、それこそジュニア同士で愚痴っていることもあります。とりあえず、この業界は「刺し合い」であるように感じますので、目立たないのが一番かもしれません。
ただ、基本的にジュニアバンカー全てが戦々恐々として日々業務に臨んでいるように思います。ちょっと気を抜くと、上記の状態になりますし、上の人間は下の人間に抜かれる心配が出てきますし、下の人間は上に使えないと思われる可能性があります。実際、友人に聞いても、「下にファイナンスの知識が深くて、頭が良くて、英語ができる人間が入ってきたら嫌だ」と言っているように思います。正直、どれだけ優秀な人間だとしても、優秀な新人が入って来ることは、自分が冷や飯を食べることになってしまう可能性があるため、できるだけその機会を減らしたいと思うのが、この業界の常かもしれません。外資というと、実力主義と言われますが、投資銀行部門の場合は外資でありながらも、カルチャーは日系の体育会系に近いイメージです。しかしながら、下からの突き上げがあるという点で、外資とも言えるかもしれません。
上記のブログで、「精神的に限界」というワードがありますが、IBDでは確実に疲弊します。留学だけでも大変なのに、IBDをミックスされると、確実に死にますが、これを乗り越えれば、達成感が待っている。。。ことはないんですよね。残念なことに。IBDはすぐにできるような業界ではないため、「何故このレベルの業務でつまずかなければならないのか」と思うこともしばしばです。”バランスしないバランスシート”に苦しめられる毎日ですし(リアルに起こります)。「なんでこの数字がおかしいんだ!!!でも解決策がわかんねぇ!ふざけんなよ、このf〇〇kin' エクセル(ファクトセット)!」みたいな状況になったりもします。イライラしても解決しないため、散歩に行ったり、ご飯食べに行ったりして、気分転換することで解決策を図ったりします。これですぐに他の人に聞ければ良いのですが、聞いた瞬間に「こいつこんな初歩的なこともわからないのか?足し算引き算を小学生の時に習わなかったのか?」みたいな感じの雰囲気になりますし、あとで愚痴られるのも目に見えていたりします。たまに不用意に初歩的なことを聞いてしまって、後悔することも結構ありました。という感じなので、入る方は気をつけてください。
と、ダークサイドにフォーカスしているように見えるので、良いことを言うと、「必ず後悔しない、将来の財産になる」ということは言えるように思います。世界中どこで話しても確実に評価されるレピュテーションと能力の証明(実際にはピンキリ)になるように思います。また、会社のことが嫌いかと言うと、全くそんなことはなく、むしろ「いい経験させてもらったな」と思います。会社に対してのロイヤリティも最初に入った投資銀行側になるようにも思いますので、色んな意味で経験しておくといいかもしれません。ちなみに、雰囲気もその会社仕様になります。そのため、「ザ・外銀」という会社に入ると、社員もその環境にインスパイアされるため、雰囲気もその会社に染まってしまいます。そのため、私もスーツを着ると、何故か「チャラい」と言われるようになってしまったように思います(ジャラジャラしているのとちょっと違いますが)。六本木周辺で人間が想定しうる全ての”遊び”を叩き込まれるので、必然的にそういう感じになるのかもしれません。また、食事も皆センスが良いので、六本木から西麻布周辺の色々な場所を知ることができるのもメリットかもしれません。私は遊びの方には特に興味がないため、卒業させていただきましたが。
追伸になりますが、上記にあるPEまでの流れがありますが、まさに私も同様のことを考えて、同じような行動をとりました。そして、同様のことを考えていることもちょっとツボです(笑)初めにPEのオフィスを見せてもらった時、確かにあんまり人がおらず、面食らいました。今思えば、社員数が少ないのではなく(といっても、全ての人数は普通の企業と比べると超絶少ないように思いますが)、投資先に常駐していたりしていて、オフィスにいなかったのかもしれません。
そんな色々思い出のある投資銀行の思い出ですが、今思えばいい思い出です。