最近はロンドンでの就職状況が明らかに改善していると感じます。以前はロンドンキャリアフォーラム(LCF)やバルジョブはあるにはあったものの、充実しているとは程遠い状況でした。昨年頃からコンサルの就職機会が増加しており、また、製造業も増えているように思います。ただ、投資銀行が全く来ていないように思うので、残念な限りというところでしょうか。これは仕方ないという限りで、投資銀行は元々採用人数があまりにも少ないため、わざわざ海外大生を取るために複数の機会を設ける必要性を感じていないように思います。そのため、BCFくらいしか就職機会がないというのも仕方ないかもしれません。最も日系投資銀行は来ているわけなので、全く来ていないというわけではありませんが。
コンサルの求人が増加し、投資銀行の求人が減少している理由は明確で、「スケールメリット」が効くか効かないかということに終始するように思います。コンサルはスケールメリットが働くため、採用人数を拡大し、案件をドミネイトする必要性があるように感じます。一方で、リーマンショック以前とは違い、近年収益性を重視する投資銀行は必ずしも人数を拡大する必要性はないと感じているのかもしれません。また、優秀な人材はPEに流出する一方で、元々取る人数が少なすぎて、「なぜこんな奴を雇ったのか?」と思われるジュニアバンカーを簡単にクビにできない状況にもあるのかもしれません。この業界は人を育てるのに時間がかかるため、MBAから雇用したいと考えている投資銀行も少なくないように思います。しかしながら、アナリストを育てる必要がなく、アソからいきなりMBAをがっつり取れるのはゴールドマンやJPモルガンあたりくらいしか見当たらないように思います(結構商社から取れてますよね)。近年はトップスクールから投資銀行を目指す方は減少しており、バイサイドを目指す方が多いように感じています。
とはいえ、PEに行けるのは実際にはほぼおらず、社費で来ている方が会社に戻ったり、VCに行ったりする例が増加しているように思います。日本人であれば、だいたいアメリカのビジネススクールに行き、西海岸ではシリコンバレー的感覚を注入される、東海岸のエスタブリッシュメントでは、PEの素晴らしさを教育されるという感覚であるように思います。そのため、SNSを見ていると、HBS(ハーバード・ビジネス・スクール)に留学したてのMBA生(特に非ファイナンス系)が「投資銀行はビジネススクールでは人気がない、プライベート・エクイティが素晴らしいとされている」「アメリカで優秀な人間は投資銀行のアナリスト・プログラムとPEのアナリストを2+2年で経験している」的な話を展開する方が多いように思います。結局のところ、外銀や戦コンを挟まずにPEに就職するのはかなり厳しいため(一部はいますが)、サマーインターンで学生時代に憧れだった”マッキンゼー”(ゴールドマン)にサマーアソシエイトとしてリベンジする、というのがある程度見られる例であるように思います。西海岸の方はイメージ的には日系のシリコンバレーに進出している企業やグローバルで人気のあるVCの日本支社でインターンしている方が多いように思います。両岸共に残りは製造業やベンチャーなどでのインターンかもしれません。これが大体のアメリカのビジネススクール最前線といったところでしょうか。ロンドンではありませんが。
話は逸れましたが、BCFほどではないにしろ比較的就職活動の機会が充実しているのが昨今のロンドンの状況かもしれません。実際、昨年と今年を比較すれば一目瞭然ではありますが、コンサルの充実度が顕著であるように感じますし、基本的に受験できないコンサルはないのではないか、そんな風に感じられる勢いです。また、総合商社も一般的に応募するようになっており、三菱商事や三井物産、JICAなども名を連ねているように思います。見る限りは日本の学部生に人気の企業が来ているような印象でしょうか。正直なところ、イギリスの学部生に注入されている価値観とは明らかに乖離があるような気がしてなりませんが(イギリスではファイナンス職が学生の目指すところなので)、院生から来る学生にとってはかなり良い機会であると言えるかもしれません。私とは趣向が異なりますが。