2017年 01月 18日
ファイナンス職のための修士選択時の注意点 |
日本から留学にいらっしゃる方々へのファイナンス職のための修士選択での注意点について言及したいと思います。この場合ファイナンス修士のみに縛られるわけではありませんが、日本から来てこちらで就活する場合、結構色々行いますが、結局のところ初めてご留学される方々は現実を突きつけられることになると思います。結論から言えば、英語力の不足により結局のところ何もできないという話です。正直、これが一番のネックになりますし、留学したことのない方であれば、IELTSやTOEFLの点数がどうであれ、十分に英語が現地で話せて聞けるレベルではないと思います。これが現実です。
留学・就職活動の現実
1年の留学で何とかなる場合はほぼありませんし、2年間学習したとしても、ある程度余裕にはなりますが、若干厳しいように思います。そのため、3年のスパンを取ることを前提に留学を計画する必要性があるように思います。特に、ファイナンスの現場、シティという環境で業務を行いたいと思ったとしても、それは難しいかもしれません。そもそも英語以外の面で競争的な環境にあるにも関わらず、ヨーロッパのバックグラウンドがない中でこうした就活戦線で戦っていくのはかなりハードであることは理解しておいた方がいいかもしれません。特に、プロフェッショナルファームでの業務経験のない方はより困難を極めるように思いますし、そもそも書類が通らないことは前提であると思った方が良いかもしれません。新卒の場合ですと、関連の選考&長期インターンを行なっている場合、書類は通りやすいのですが、その他の方々は正直厳しいように思います。
結局CV(履歴書)が全て
日本の場合、極論、学歴とウェブテの点数があれば、受験させてもらえます。しかし、こちらではそんな簡単なものではなく、CVの充実度が書類審査の鍵ですし、その書類が通った後もウェブテ、ケース面接等々がございます。BCFのフルタイムは、ロンドンで書類通過レベルであれば、外資ですと、ウェブテ免除で電話面接やBCFでの面接からもあります(後で参考のための受験のケースあり)。日系ですといきなり最終面接から入る場合もあります。CVさえ良ければボストンは、ウェブテは免除で、2次面接以降、または、事実上最終のみといった会社は結構存在します。かなり格差のある状況なので、CVが鍵を握るといっても過言ではないですし、CVの書き方が悪ければ、学歴に関係なく、”その他一人”になるので注意した方がいいかもしれません。
現実的に何をすべきか
正直、ファイナンスの場合、経験が全てなので、IBD業務かつ留学経験のない方がいきなり飛び込むにはあまりにも無謀な気がしてなりません。そのため、ファイナンス選考でロンドンでいきなり臨むよりは、1年制のMBAで一度日本ベースのIBDにアソで就職し、ニューヨークかロンドンの交換制度を使い、1年間業務経験を積んだ後、ファイナンス専攻でロンドンに戻って来るというのが現実的な選択肢かもしれません。そのようにすれば、3年という時間を過ごすことができますし、比較的スムーズにロンドンでファイナンス業務に従事できると言えるかもしれません。つまり、わかるかと思いますが、数度成功体験を得ていなければならないということです。
日本ベースのIBDの選択法
もう一つ注意すべきなのは、日本ベースのIBDに就職する場合ですと、ディールフローの多い環境に行く方が後々CVの充実度が違います。PEの欄でも述べましたが、基本的にこの業界は案件をどれだけこなしたかが重要であるように思います。そのため、学生間の知名度だけに囚われるのではなく、実際にその会社で適切な経験を積めるのかを考慮すべきであるように思います。日系は非常に良い環境があるように思いますし、外資ですと米系となります。GSやJPMは十分な実績もあり、業界内でも有名であると感じます。また、MAであればモルスタが強いと感じる次第です。日系の場合、比較的日本人をロンドン、ニューヨークの海外支店に送る傾向がありますので、無理に留学を数回に分けなくとも良い可能性もあります。米系も欧州系も能力は変わらないように思いますし、欧州系もECMが強かったり、DCMが強かったりと、それぞれ特徴がありますが、ことMAとなりますと、ディールフローの関係から米系か日系となるように思います。とはいえ、モルスタを除いて、その他米系でもM&Aの部署そのものは基本数人程度のように思いますので、キャピマに送られることになるかもしれません。また、セクター(カバレッジ)バンカーにつくような場合ですと、M&Aとファイナンシングと両方の経験を積めるように思いますが、結局のところ、最終的にどこに入れるかどうかは、その年の”ヘッドカウントによる”としか言いようがないように思います。
PEのための経験
PEを前提にキャリアステップを踏みたいと考えるのであれば、多くの場合、M&AかLDCMになります。LDCMはレバレッジド・ファイナンス(LevFin)を扱う部署になりますが、実際のところ日本ですとそれほどLevFinを扱う案件がほとんどありません。つまり、M&Aがベースになってしまうわけですが、M&A案件を扱う部署に行けるかどうかも運次第となりますので、なかなか難しい話であると感じます。日本のPEですと、IBDであればあまり関係なく転職できているように思います。前回の記事でも書いたように、日本のPE業界はこれから伸長すると考えられますので、非常にやりがいがあるように思いますし、日本のPEの方が、ファイナンス業務に加えて、マネジメント業務にも深く関わっていけるという点で、良い環境であると言えるかもしれません。必ずしもロンドンやその他の環境で業務に従事することが良いわけではないことは付記しておきます。
どのファイナンス修士を取るべきか?
実はLSEにはいくつかのファイナンスメジャーがありますので、そこからどれを選ぶべきかを自分で考えてみるべきであると思います。大きく分けて、2つのタイプに分かれるかもしれません。一つは職業のための修士、もう一つは職業と博士の両方を見据えた修士ということになります。
職業のための修士
・MFin
PhD & Job
となっております。経済学修士からの進学に関しては、PhD Econとはなるものの、コーポレートファイナンスの専攻にすることができるかと思います。PhDを見据えるかそうでないかによって専攻が一気に分かれてしまうことや、コースの内容がそもそもアカデミックよりか実務寄りかに分かれてしまうので、注意が必要です。具体的な違いとしては、座学中心になるか、ケースメソッド中心になるかということです。フランクフルトのPEに行ったフラットメイトがA&Fを専攻しており、ケーススタディの練習を行なっておりました(HBSのケースでちょっと笑ってしまいましたが)。これらは結構分かれているように見えますが、基本的にファイナンスの学部にいる場合、同じような科目を取れるので、それほど注意は必要ないですが、R&Fに行ってしまうとコーポレートファイナンス領域に行きたい場合に深く質問される、もしくは書類が通らないということもあるかもしれません。
競争環境
ロンドンの金融職の競争は激しいので、適切な専攻だったとしても、経験不足の場合は簡単に書類落ちしますので、入学前のCVを充実させることを重視しておくと違うのかもしれません。バックやミドルあたりでいいのであれば、それほど厳しくはありませんが、投資銀行部門の選考は非常に厳しいことは承知頂きたいと思います。ロンドンで最も人気のある金融の中でも、投資銀行部門は別格に厳しいと言えるかもしれません。他の国であれば、PEにいけるレベルの人間もロンドンであれば普通に苦戦します。実際、PEのフラットメイトも最初の段階では面接にすら行けなかったことを付記しておきます。それでも、投資銀行であれば、基本的にアジア人でも一定数いるので、PEと比較すると、比較的入りやすいとも言えます。どの国も意外とPEは多国籍ではない、もしくは同人種が多い(ロンドンであればどのファームもほぼ白人のイメージです)ので、日本人がロンドンでPE職を探す場合、意外と苦労しそうなイメージであることは否めません。意外とアメリカの方がこれに関しては就職しやすいのかもしれません(ビザの面では苦労するように思いますので、STEMでPhDは欲しいですね)。
という感じでとりとめのない終わり方にはなってしまいましたが、ご参考になればと思います。
by lse_keio_sfc
| 2017-01-18 20:48
| LSE
|
Comments(0)