2016年 02月 01日
ロンドンの就活におけるインダストリーのポジショニング |
イギリス、特にロンドンで生活していると、日本以上に就活オリエントな学生生活を送ることになる。日本で大学一年から就活していると、「意識高い」というレッテルを貼られるように思うが、LSEだと割と普通だ。修士なんてオリエンテーション初日から投資銀行やコンサルの説明会がある。
ぶっ飛ばしすぎだろ、とか思わなくもないが、イギリス、特にイングランドの場合、学部3年、修士1年という短い期間の中で勝負しなければならない上、二年生の夏にサマーインターンを獲得しなければ、フルタイムのポジションを取るのはほぼほぼ不可能に近いものになる。特に、階級社会イギリスにおいて、階級上位に位置する憧れのインベストメントバンカー(特にM&A, LBO)の職を取ろうと思えば、激烈とも言える競争を勝ち抜かなければならない。そのため、一年から就活することは必須なのである。修士はより強烈で、入学即座に全てを行わなければ絶対に間に合わない。
インベストメントバンカーになれない人間は、コンサルなども併願しつつ、ということになる。こちらでは、「シティ」という絶対的な金融街があり(実際にはカナリーワーフに多くの投資銀行が拠点を持っているが)、投資銀行業務に従事することになれば、欧州はもちろん、中東やアフリカ大陸までの幅広い案件を担当する(ことになるらしい)。そのため、ディールフローは多いし、巨額の案件に携わることも多々あるように思える。LSEにて無料のWall Street JournalやFinancial Timesに目を通せば、何かしらの案件の進捗状況や潜在的な市場の動きを知ることができる。日本もM&A市場はもちろんグローバルで見れば大きいものの、ロンドンのそれは日本の案件をはるかに凌ぐように思えるし、事実、投資銀行部隊の大きさも桁違いだ。日本だと、外資系投資銀行のIBD (=Investment Banking Division)は150人で大所帯というイメージで、ビルのワンフロアという感覚だが、こちらでは投資銀行部門だけで幾つかのビルを所有しているという感じだ。まさに、外資の本拠地というイメージになる。
そんな環境に加え、ロンドンのインベストメントバンカーの給料は尋常じゃなく高く、1年目からボーナスを含めると、1500万円ほど稼げたりする。つまり、優秀な人間、高い給与、転職先のアベイラビリティなどを総合的に考慮すると、投資銀行が一番人気になるらしい。みんなインベストメントバンカーを目指し、ゴールドマンのインターンに参加することが自己の承認欲求を満たす役割を果たしているように思う(LSE Memes参照)。少なくともLSEではそんな感じだ。
日本だと、投資銀行ならゴールドマン、JPモルガンなどIBDとトレーダー全般で、コンサルだと、マッキンゼー、BCG。消費財なら、P&G。商社なら商事物産、ベンチャーにも行きたい人がいる。政府系も、メーカーも的な感じで本当に色んな選択肢があるし、外銀や外コンが難易度で一つ頭抜けている以外は割とフラットな感じで就活が成り立っているようにも思える。また、自分のライフスタイルに合わせて、会社を選択する的な考えも割とあったりするのが日本の就活なのだが、こちらだと、普通にインベストメントバンカー、コンサルとそれ以外という雑なカテゴリ分けになるし、LSEでは、バンカー、コンサル、ロイヤーになれなければ、就活に失敗したというレッテルを貼られる(少なくとも気まずい)ため、何とかしてそれらの専門職を得たいというイメージになる。修士だと割と扱いは寛容になるかも。
そんな感じでロンドンでは就活が行われており、常に激しい競争、周囲からのプレッシャーに晒されながら生活しなければならないため、常にピリピリしている印象だ。ロンドンで就活するのは本当に大変だなと思いながら日々を過ごす次第である。
by lse_keio_sfc
| 2016-02-01 11:08
| 就活
|
Comments(10)
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ロンドナー
at 2016-02-01 19:55
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それであなたはどうなんですか?
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lse_keio_sfc at 2016-02-01 22:40
> ロンドナーさん
過去の投稿でも見ていただけたら幸いです。ロンドンナーさんはどうなのでしょうか?
過去の投稿でも見ていただけたら幸いです。ロンドンナーさんはどうなのでしょうか?
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ロンドナー
at 2016-02-03 19:12
x
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lse_keio_sfc at 2016-02-04 09:22
> ロンドナーさん
曖昧なのは意図したものです。例えば、ロンドンナーさんはカナリーワーフで働かれているようですが、業種は何か?という絞り込みをし、仮にIBDである場合、その時点で働いている日本人は限られます。どのようなポジションか?1年のロンドンでの研修的なプログラムに参加しているだけなのか?など、それによって「個人」を特定することは容易です。そのことから、わからないように「ぼかす」ことは必然であるとお考えください。
ロンドンナーさんもカナリワーフで働かれている、というのは、曖昧な表現であると言えるのではないでしょうか?それはそうせざるをえないからです。
曖昧なのは意図したものです。例えば、ロンドンナーさんはカナリーワーフで働かれているようですが、業種は何か?という絞り込みをし、仮にIBDである場合、その時点で働いている日本人は限られます。どのようなポジションか?1年のロンドンでの研修的なプログラムに参加しているだけなのか?など、それによって「個人」を特定することは容易です。そのことから、わからないように「ぼかす」ことは必然であるとお考えください。
ロンドンナーさんもカナリワーフで働かれている、というのは、曖昧な表現であると言えるのではないでしょうか?それはそうせざるをえないからです。
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ZS
at 2016-02-04 15:18
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ロンドンのIBDに純ジャパがLSEの修士を挟んで就職できる可能性はあると思われますか? (新卒のアナリストポジションを想定してます) また、あるとすればどのような準備や戦略が考えられるか、知人でそのような人がいればその方のバックグラウンドや取られた戦略なども教えて頂けますと幸いです。
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lse_keio_sfc at 2016-02-04 21:21
> ZSさん
結論から言うと、不可能ではありません。ただ、純ジャパか帰国子女かを問わず、日本国籍で就職するというのは、今日のイギリスのイミグレーション政策から考えて、難しいと言わざるをえません。と言いつつも、Non-EUの人間で就職している知り合いや友人を見ると、可能性は言われている以上にあるかと思います。
では、具体的にIBDの現地就職をするために何が必要かというと、基本的にこの業界ですと、「経験」がものを言うように思います。経験とは一口に言っても、金融をかじったレベルから業務経験までありますが、新卒のアナリストで就職する場合、「長期インターン」のポジションを取れるかそうでないかで、行けるいけないの差が生まれます。投資銀行部門ですと、投資銀行部門での経験が必要になりますし、その業務へのFamiliarityが日本以上に必要かなと。ちなみに、ここでは他の日本と同じような経験やスキルや語学といったファクターは除いております。
とりあえず、修士からでロンドンのポジションが欲しい場合、2年プログラムかつ、経済かファイナンス系の専攻で、Business & Finance Societyなどで、運営を経験し、実績作りに励むという感じでしょうか。その上で、外銀IBDのインターンをボスキャリで少なくとも一つと、その後のロンドンでのインターン確保というのが、ロンドンでフルタイム獲得の王道かなと。
とはいえ、日英に限らず、IBDのインターンを取るだけでも至難の技なんですけどね。高学歴ハイスペックは当たり前なので。
バックグラウンドや戦略などの細かいことはこちらのブログで確認ください。
https://londonandme2013.wordpress.com/
結論から言うと、不可能ではありません。ただ、純ジャパか帰国子女かを問わず、日本国籍で就職するというのは、今日のイギリスのイミグレーション政策から考えて、難しいと言わざるをえません。と言いつつも、Non-EUの人間で就職している知り合いや友人を見ると、可能性は言われている以上にあるかと思います。
では、具体的にIBDの現地就職をするために何が必要かというと、基本的にこの業界ですと、「経験」がものを言うように思います。経験とは一口に言っても、金融をかじったレベルから業務経験までありますが、新卒のアナリストで就職する場合、「長期インターン」のポジションを取れるかそうでないかで、行けるいけないの差が生まれます。投資銀行部門ですと、投資銀行部門での経験が必要になりますし、その業務へのFamiliarityが日本以上に必要かなと。ちなみに、ここでは他の日本と同じような経験やスキルや語学といったファクターは除いております。
とりあえず、修士からでロンドンのポジションが欲しい場合、2年プログラムかつ、経済かファイナンス系の専攻で、Business & Finance Societyなどで、運営を経験し、実績作りに励むという感じでしょうか。その上で、外銀IBDのインターンをボスキャリで少なくとも一つと、その後のロンドンでのインターン確保というのが、ロンドンでフルタイム獲得の王道かなと。
とはいえ、日英に限らず、IBDのインターンを取るだけでも至難の技なんですけどね。高学歴ハイスペックは当たり前なので。
バックグラウンドや戦略などの細かいことはこちらのブログで確認ください。
https://londonandme2013.wordpress.com/
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ZS
at 2016-02-05 01:32
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詳細にありがとうございます。業務経験をインターンレベルで持っておくのが決め手になりそうなのですね。なかなか厳しそうですが、参考に考えます。
もう一つお伺いしたい事があります。
LSEの修士のほとんどの修了時期が9月前後の印象なのですが、外資IBのような6月開始でのフルタイムの採用枠には、進学した年のボスキャリで応募することは出来ないのでしょうか?それとも企業側は融通を効かせてくれるものでしょうか?
日本人留学生は外資IBなら6月から、コンサルなら9月頃から就職する人が多いように思うのですが、LSEのような1年の修士課程で9月頃に修了するプログラムの場合はどうなるか気になり質問しました。
もう一つお伺いしたい事があります。
LSEの修士のほとんどの修了時期が9月前後の印象なのですが、外資IBのような6月開始でのフルタイムの採用枠には、進学した年のボスキャリで応募することは出来ないのでしょうか?それとも企業側は融通を効かせてくれるものでしょうか?
日本人留学生は外資IBなら6月から、コンサルなら9月頃から就職する人が多いように思うのですが、LSEのような1年の修士課程で9月頃に修了するプログラムの場合はどうなるか気になり質問しました。
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lse_keio_sfc at 2016-02-05 19:16
日本の短期インターンは取る人数が多いですが、長期インターンは大体その10-20分の1以下くらいだと思った方がいいです。
外資系投資銀行の場合、9月卒業ですと、翌年の4月入社となりますので、卒業から半年、全ての授業終了後から、約1年あります。つまり、入社時期は2年プログラムと大差ありません。
日系投資銀行は逆にフレキシブルに対応してくれますよ。ボスキャリに来るような日系IBは優秀な人材が欲しいと考えていますし、本社が日本にありますので、人材採用に比較的余裕があるからだと思います。ただ、優秀な海外大生が多いかというと、いるにはいるかもですが、外資と比較すると割合は低くなるかと。
外資系投資銀行の場合、9月卒業ですと、翌年の4月入社となりますので、卒業から半年、全ての授業終了後から、約1年あります。つまり、入社時期は2年プログラムと大差ありません。
日系投資銀行は逆にフレキシブルに対応してくれますよ。ボスキャリに来るような日系IBは優秀な人材が欲しいと考えていますし、本社が日本にありますので、人材採用に比較的余裕があるからだと思います。ただ、優秀な海外大生が多いかというと、いるにはいるかもですが、外資と比較すると割合は低くなるかと。
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ZS
at 2016-02-11 11:02
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お返事ありがとうございます。
やはり外資IBは9月卒業でその月に入社は厳しいのですね。。(おそらく夏のトレーニングの関係が理由と思いますが)
ちなみに、イギリスの修士 (LSEのような9月に修了するプログラムを想定)で進学した年のボスキャリでIBのインターン、修了後のボスキャリでフルタイムのポジションに応募するのは実質可能なのでしょうか? (修論との兼ね合いや修了後のボスキャリが既卒になることも含めて)
また、差支えなければ、管理人様はボスキャリで何が評価されてオファーを獲得することができたと思われるか教えていただけないでしょうか?
やはり外資IBは9月卒業でその月に入社は厳しいのですね。。(おそらく夏のトレーニングの関係が理由と思いますが)
ちなみに、イギリスの修士 (LSEのような9月に修了するプログラムを想定)で進学した年のボスキャリでIBのインターン、修了後のボスキャリでフルタイムのポジションに応募するのは実質可能なのでしょうか? (修論との兼ね合いや修了後のボスキャリが既卒になることも含めて)
また、差支えなければ、管理人様はボスキャリで何が評価されてオファーを獲得することができたと思われるか教えていただけないでしょうか?
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lse_keio_sfc at 2016-02-11 11:23
基本的に夏の長期インターンでフルタイムが決まります。また、長期インターンを経験すれば、後のボスキャリのフルタイムの応募でもアドバンテージがありますよ。応募は可能です。
最低限トップティアのバンカーやコンサルとしてやっていけるだけの能力と会社へのフィット感くらいですかね。採用担当に聞かなければ詳細はわかりませんが。
最低限トップティアのバンカーやコンサルとしてやっていけるだけの能力と会社へのフィット感くらいですかね。採用担当に聞かなければ詳細はわかりませんが。