2015年 06月 05日
日本人の学力 |
日本人の学力について書いてみたい。一般的に海外の大学の学力は高いと思われている傾向にあるが、それはどうなのだろうか。エビデンスと経験を持って、この問題について考えてみたい。
よく日本人の学力云々とかいう話になったりするわけだが、日本人の学力は数学の視点から見ると比較的高いし、その他にも客観性を持って議論をファシリテートするといったことは得意である。ただ、プレゼンや論文を書いたりする技術は平均的にはあまりないような気がしないでもない。上位大学の学生の能力という視点から見ると、もちろん高いし、行動力も学力も優れている。時々、東大でも◯位なんだとか、早慶はランキング外だ。一方で、イギリスやアメリカの大学はランキングが高くて素晴らしいし、学生の能力が高いに違いない。というような議論になりがちであるが、はっきり言って、ピントのずれた議論としか言いようがない。 上記の手法を見ればわかるが、学生の能力という項目はほとんどないように見える。強いて言うなら、Employer Reputationくらいか。しかし、これは地理的要因や国家の状況によって変化する場合があり、ER=学生の能力と定義づけてしまうのは難しい(感覚ベースでは就職の良い大学には良い学生が多いが、客観的なエビデンスとは言えない)。これは大学のファカルティ学術的貢献や大学の環境がランキングにつながっているのであって、学生の能力には関係無いと言えるのではないだろうか。こうしたランキングの決定する手法を知らずに、学生の能力をさも高いかのように言ってしまうのは、どうなのだろうと思ってしまう。特に学部生など、ほとんど上記のランキングの環境やファカルティにアクセスする機会のない場合、より評価が困難だろうと思う。
ただ、修士以降の教育となると、ランキングの高い大学はeffectiveとなってくる。というのも、実際に大学の有名なFucultyに直接指導を受けるため、ほとんどの項目が当てはまってしまうことになる。また、修士以降から留学するという習慣が各国の学生にあるのかわからないが、どこの大学も修士以降になると、international studentが多くなる。だからと言って、学力の問題で優劣を明確につけることができるかというと、それは同様に難しいような気がする (感覚ベースでは高いと思うのだが)。
結論をいうと、歯切れは悪いが、明確な基準は現実に存在しない。ただ、教授の教えている感覚からすれば、上位大学の学生のレベルはどの国も変わらないそうだ。実際、学部生の時、とある授業で、ハーバードで教えていた教授がこのキャンパスのトップの学生とハーバードの学生のトップのレベルはほとんど違わないと言っていた(平均はハーバードの方が高いらしいが)。多分そうなのだろうと思うが、皆肌感覚なので、エビデンスとは言い切れない。それだけだ。しかし、結果的には日本の学生は世界のトップの学生と張り合っていけるだけの能力を持っていると言えるだろうし、そこに自信を持っていた方がいいのかもしれない。
by lse_keio_sfc
| 2015-06-05 17:42
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