今まではプロフェッショナル・ファームの話をすることが多かったのですが、中小企業やベンチャー企業の面白みについても記述しておきたいと思います。正直なところ、あくまでも私の経験ではありますが、働く楽しさとしては、はるかにベンチャー企業や中小企業の方が面白みがあるように思います。その理由としては、プロフェッショナル・ファームにおいては、大企業の経営者や役員と1年目から社運を賭けたプロジェクトに従事できるということがやりがいですし、その過程で身につくスキルや経験、仕事のレベル感というのは変え難いものがありますし、新卒で入るなら、プロフェッショナル・ファームの方がいいと思うのは正直なところかもしれません。
しかしながら、実際に自分が役員などの立場で働くのであれば、ベンチャーの方が自分でビジネスを作り上げていく面白さはあると言えるかもしれません。CEOとかCFO、CTOなどの役職はあるけれども、実際には雑用をしなければならなければならないように思います(雑用ばかりなげれば社員もやめて行く可能性が高いように思いますし)。前職のように秘書やバックオフィスが自分の身の回りのことをやってくれるような方々はいないけれども、それを有り余る面白さが補ってくれるのかなと思ったりもします。プロフェッショナル・ファームで働いていると、結構当たり前の基準が上がり過ぎて、世間一般との間隔がかなりずれてしまいます。
例えば、IBDで言えば、新卒一年目で1000万くらい貰うのは当然とか(リーマンショック以降はジュニアのベース給が増加)、秘書やバックオフィスが自分の身の回りのことをやってくれるとか、通勤はタクシーが普通で電車に乗るとかありえないとか、世界中のオフィスから情報を集めてこれる、夜まで残っていれば食事代がでる、ブルームバーグやファクトセット、トムソンやファクティバなどのツールが当たり前のように使えるなど、当たり前と思ってたことは全く当たり前でない場合は多々あります(プレゼンとか絵を描いただけでプレゼンチームに投げておけば全部作ってくれるとかありえないですよね)。
そしてその環境からベンチャーに行くと、文句を言う人も実際にはいます。ただ、そんなのは普通に勤めていれば絶対にありえないことなので、それはそう言うものとして捉える必要があります。むしろ、人にもよりますが、そんなことよりも人生にとって大切なことは多々あるように思います。「自分の精神的自由」「自分が人を使う立場である」「戦略・オペレーションを実行できる」「企業を長期的にどうするかを考えられる」「上場という目標ができる」などなど、別の側面で見れば、自分が考える楽しみがあると言えるように思います。
プロフェッショナル・ファームから中小企業に移れば、世界最先端の技術に触れることができることもありますし、そのプロダクトを国内だけでなく、海外でどう売るか?という戦略立案から実行まで移したりもできますし、自分の人脈を使って外部の意見を取り入れたり、他企業と組んでジョイントベンチャーを作ったりもできるように思います。自分の能力や経験次第で何とでもできるようになるのがこういった世界であるように思います。
もう一つ挙げるとすれば、「自分が必要な世界かどうか?」ということもあるかもしれません。プロフェッショナルファーム(大企業や政府機関)であれば、精鋭がたくさんいますので、いつでも変えが効くように思いますし、自分がいないからといって、基本的には組織が潰れることがありません(シニアの場合でも、会社に大打撃かもしれませんが、それでも外部から人を引っ張って来れば良い話かなと)。ジュニアレベルだとまず人不足に陥る以外は一人消えても特に問題はありません。一方で、ベンチャーや中小企業であれば、プロフェッショナル・ファームの人材が一人入るか入らないかで事業運営は大きく異なるように思います。企業としても中々そのレベルは取れないので、貴重な人材として企業内で重宝されるように思います。
しかしながら、ベンチャーでも中小企業でも注意しなければならない点は、「いつ入るか?」です。入るタイミングによっては、自分の価値をアンダーバリューされる可能性があります。いくらベンチャーや中小企業に人材が必要だといっても、ある程度大きな会社になれば、自分がコモディティ化してしまうので、ある一定の経験を積むことと、入る時のポジションを確認する必要が出てきます。それらはきちんと確認した方が良いポイントかもしれません。実際に経営者に会ってみて、自分がどれだけ会社にとって必要なのかを確認してみるといいかもしれません。それが待遇に関わってきます。また、会社の考え方と自分の考え方が一致していることも重要です。
実際の話で言えば、こちらのブログを見ている方がいきなりこうした企業に入るというのは考えづらいことから、「転職」という目線で記述して見ました。ご参考になれば幸いです。