2017年 02月 16日
理想的な業務 |
理想的な業務について考えてみました。理想的というのは人それぞれであるように思います。それを前提として考えると、やりたいことができる環境と言えるかもしれません。今のことは私の理想的な環境に近いと言えるかもしれません。PE業務は非常にやりがいがあるように思いますが、コンサルやIBDはその過程でかなり重要な経験であるように思います。
私自身IBD業務に従事して(かなりの短期間ですが)、経験的に感じるのは、IBDとキャピマは全くやっていることが異なります。IBDは経営側に関わる業務を行うのに対し、キャピマはマーケットに関わる業務をしているように感じます。当然といえば当然なのですが、外部から見ると、両方投資銀行業務を行なっている、という印象にしかなりません。IBD業務は比較的わかりやすいイメージではありますが、キャピマになると、初めて見る人間にとっては、間違いなく「???」となります。M&Aは投資銀行やコンサルを目指している方であれば、何となく理解ができる世界ではあるのですが、キャピマは確実にわかりません。エクイティに関する知識やデットに関する知識は若干わかりにくい面が多々あります。
ただ、PEとなると、M&Aの要素はもちろん、キャピマの要素も必要になってきます。どんな資金調達が適切なのか、というのはきっちり考えなければならない点でもあります。つまり、M&A、ファイナンシング、カバレッジのすべての要素を持ち合わせているように思います。これに加えて、コンサル的な業務ももちろん入ってきます。最初のマクロ段階でのエコノミクスから業界構造、競合他社の状況と自社の比較などはIBDもコンサルも同様ではありますが、プロジェクトにもよるかもしれませんが、コンサルの方がよりこの部分での掘り下げがあるように思います。IBDはここら辺は一応タッチはしますが、コンサルのように深堀はしない、というイメージです。あくまでも簡潔に業界状況を理解してもらうための資料作成というイメージでしょうか(クライアントの方が業界をよく知っているので、ずれない程度に終始させる傾向があるように思います)。こちらはあくまでも財務分析を中心に行うというイメージで、基本的にマルチプルやDCFといった分析を行います。これらは買収提案のフェーズによってエビデンスやバリュエーションの細かさが変わりますが、おおまかにいえばそんな感じです。
一方でコンサルであれば、IBDがB/Sベースで落とし込んでいくのに対して、P/L視点になるように思います。市場の動向を鑑みて、この会社や部門、新製品のカテゴリーがどのようなフェーズにあり、そのフェーズだとどういった戦略をとるべきか、ということもあるでしょうし、売上や利益もしくは両方を伸ばしたいので何をすべきか、ということもあるように思います。前者は戦略、後者はオペレーションというようなカテゴリになるのかもしれません。何れにしても、企業からすれば、「企業価値を上げるために何をすべきか」ということを診断してもらうというイメージかもしれません。つまり、ざっくりいえば、B/Sは投資銀行の財務コンサルを受け(M&Aは経営戦略も関わりますが)、P/Lはコンサルの経営全般に関する診断を受ける、といったイメージでしょうか。
話は戻りますが、PEでハンズオンに関わる場合、これらを全てやりますし、それだけでなく、自分が購入側である上、売却側でもあり、かつ、経営者(出資タイプによって異なりますが)という、投資・経営に関わる全てに従事することになります。期間は3−5年で見て、ROEを向上させるために全て実行側に立ち、業務に従事することになります。ROEを向上させるためには、まずもって、財務レバレッジをいかに効かせられるかということと、経営効率をいかに高めるか、ということがキーポイントになってくるように思います。つまり、買収の際はデットを積み増しして、できるだけ自己資金を使わずに購入し、購入後はP/Lを動かして、B/Sの調整を3−5年単位で行なっていくように思います。
この全てに関われるという、ある意味自分の全てのリソースを使って業務に関われるというのは非常にやりがいのある環境ではないかと感じる次第です。投資銀行と戦略コンサルの中間点の給与をもらい、土日は基本的には休めるといったような環境です。もちろん、大変といえば大変ではありますが。業務時間も投資銀行や戦略コンサルと比較すると少ないのではないかと思います(状況によりますが)。私としては理想的な環境であると言えるように思いますが、それは人それぞれであるように思いますので、あまり鵜呑みにされない方が良いのかなとも同時に感じます。
by lse_keio_sfc
| 2017-02-16 00:29
| 仕事
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