2017年 01月 17日
ロンドンでの就職活動の手引き(一般編完全版) |
就職活動の一般的情報
まず、就職活動に当たって、日本か海外かという選択肢はもちろんありますし、基本的に多くの人は最終的には日本に帰るという選択肢を取る場合が多いかもしれません。日本で就職する”選択肢がある”というのは、素晴らしいことで、先進国ならではの発想なので、それはマイナスに捉えないようにすべきかもしれません。開発途上国出身の方々であれば、一度帰国してしまうと、どんなに良い学歴を持っていたとしても、5−10万円の月収で働くことはザラですし、そもそもロンドンや東京にあるような高度な知的レベルの業務が簡単に行えるわけではありません。日本の場合、1000万くらいであればすぐに稼げる環境もあり、正規留学経験者に対する待遇も昨今は非常に良いので、日本で就職する選択肢は今のうちにとっておいた方がいいかもしれないと思う次第です。また、ロンドンと比較して東京の物価・賃貸は非常に安いです。数年の経験と考えることもできるかもしれませんし、永住するという考えもあり得ます。
ロンドンでの就活
基本的にはLSEの話になりますが、学部生はPPEなどの4年制を除いて、2年生の秋から行いますし、マスターの場合は年数に関わらず、入学してすぐに始まります。おそらく、「右も左も分からない」という状況だとは思いますが、勉強だけ行なっていますと、完全に卒業後はニート状態に陥りますので、気を付けて下さい。これは脅しではなく、現実に起こりうることですので、注意深くなりましょう。ロンドンでは、特にLSEにいれば手に入らない情報は何もない、と言っていいくらい全てあります。しかしながら、就職活動をしたことのない人の場合、何も情報がないまま始まってしまいますので、周囲の輝かしい実績を持つ方に助けを求めるのも重要かもしれません。
ロンドンに残る、もしくはその他の国の就活情報を収集する
この場合ですと、基本的には、”Society”の情報が最も役に立ちます。日本の学部時代であれば、サークル・ゼミに入っているかによって情報量に差がついていたのと同様、LSEの場合ですと、ソサイエティーに入らないことには情報収集が基本的にはできないと思った方がいいかもしれません。こちらは自分の好みに合わせて受験すればいいと思いますが、オススメのSocietyは、Business & Financeで、ここの情報が比較的新卒の方や中途の方の好みに合いやすいかと思います。基本的には投資銀行や戦略コンサルの情報が雪崩のように送られてきますので、それに沿って行えば良いように思います。文章であれば見にくいと思いますので、就活用のソサイエティを列挙しておきたいと思います。
就活推薦のソサイエティ
・Business & Finance → 主に投資銀行、コンサル、たまにヘッジファンド(名門ヘッジファンドのMAN Groupとか来ます)やドバイ・アブダビの石油系ソブリンウェルスファンド
・Consultancy → コンサル
・Hedge Fund → ヘッジファンド
・Alternative Investment → PE
・United Nation → 国連
・Asia Careers Society → 日本以外のアジアだが、中国・香港系多め。基本外銀、コンサル、ロイヤー。たまにみずほ銀行香港も募集に出ていたりします(日系も頑張って欲しいですね)。下記は某米系の求人で、Exclusiveに来ます。
ソサイエティの詳しい内容
Business & Finance
就職活動の情報以外にもスキルセットの醸成にも役立ちます。財務モデルの組み方や、自己勘定投資の手法の勉強もありますし、ヨーロッパ各国のファーム(例:パリのBCG)を回ったり、石油系の国のトップと会ったりできます。アブダビ投資庁は世界最大の機関投資家であり、就職できる可能性も十分ありますので、注視すべきかもしれません。あとは、名門ヘッジファンドの幹部にメンタリングをしてもらうようなイベントもあります。イベントは企業がファンディングするため格安で参加できるため、参加した方がお得です。また、積極的に話しかけて友人を作ることも就職活動には必要なことかもしれません。ただ、多くの場合、CVを提出して面接があるので、それも準備が必要です。
Consultancy
ここの情報で最も役立つのは文字通りコンサルなのですが、コンサルのケースインタビューはもちろんやってくれます。それ以外にも、”プロボノ”と言って、無料で外部の組織にコンサルティングサービスを提供するボランティア活動もあります。これらをやることでCVが充実すると言えるでしょう。また、ケース面接対策に”スタディグループ”も作ってくれるので、それを活用することもロンドンの厳しい環境で勝つ上で必要かもしれません。
Hedge Fund・Alternative
基本的に求人のイメージです。Alternative Investment以外のイベントで活発なイメージがあまりありませんでした。結局のところ投資銀行のトレーディング関連の求人が回ってくることもありましたし、新卒が多いということや、PEはPEのコースの中で完結してしまっていて、あえてソサイエティに入ってまでやる必要がないと考えている人が多かったのかもしれません。イベントのゲストは以下のような形です。ちなみに、これに参加申し込みをすると、ダートマスパートナーズの選考にも同時に乗ることができます。
上記はロンドン・ドバイ・欧州で就職活動するのに有効です。次は日本の方を見ていきたいと思います。
日本の情報を収集する
日本企業の情報収集はそれほど苦労しないとは思いますが、あえて挙げるとすれば、ジャパソに入るとか、ロンドン日本人会のフィードをみるなどがありますし、基本的には外資就活さえ見ておけば全て情報は集まるように思います。それでもわからないことがあれば、パブ会にでも行き、同じようなインタレストを持つ方と話すのが良いかもしれません。
給与水準
給与水準に関しては「聞きたくても聞けない」ことも多いと思いますので、補足しておきます。給与に関しては、キャリアの最初の段階ですと、投資銀行フロント>PE>投資銀行バック>コンサル=弁護士という感じなるかと思います。キャリアの後半ですと、(ディールフローが多くエグジットできる)ファンドが最も高く、投資銀行>コンサル=弁護士という形になるように思います。下記の表はインベストメントバンキングの20年後で5000万円ほど、コンサルで2500万円ほどと少ないように感じますので、これらにプラスしてボーナスがつくように思います。20年もこれらの業界に残りたいかどうかは個人次第ですが、これらの業界にずっと残っている人は、この仕事が相当好きな人であると言えます。
就職活動の時期
国連、OECD、世銀
下記URLの幅が広いので、便宜上こちらにしました。また、カテゴリにモレもダブりもありますが、ご容赦下さいませ。職歴が3年以上かつ関連学位を持つ人であれば、国際機関に挑戦できるかと思います。国連関連、OECDの情報は基本的に国連、OECDのHPに書いてあります。これらは随時のこともあれば、そうでないこともあります。世銀のインターンは10月か11月中か忘れましたが、そのくらいに1ヶ月間のスパンでアプリケーションの提出があったように思います。受かれば1-3月にDC勤務です。多少知識不足が否めないため、明確なことは言えませんが、キャリアの例と致しまして、世界銀行でアジアパシフィック担当になり、途上国でのファイナンス経験を行なった後、現地のPE、その他ファンド(アキュメン、HFなど)、NGO、コンサル等、より現地にフォーカスした専門性の高い業務ができるようになるかもしれません。途上国にプロフェッショナル勤務をいきなり行うのは以前の記事にも書いたように結構難しい面もあるので、世銀や国連をクッション的に挟むのもありかもしれません。
ロンドン
ロンドンの場合、10月くらいからすでに始まっていますので、9月中にキャリアセンターでCVの添削、10月中にUBS、JPモルガンなどとコーヒーチャットでCV添削や情報収集を行い、アプリケーションのリファインを行います。その傍ら、通常・ケース面接の練習を行なっていく必要もありますので、この時期は大変忙しいです。特にこちらのインターンは”就職した”のと同じ扱いを受けるので、誰もがインターンを取ろうと必死になっています。フルタイムから受けるのもいいですが、正直インターン経由の方が色んな意味で楽ですし、投資銀行はサマーインターンで150−200万円ほど稼げるので、お小遣いとCVの充実のためにも受けておく方がいいように思います。
東京(一部アメリカ・香港)
投資銀行東京支店、香港・シンガポール(マーケッツ)、ヘッジファンド(香港勤務)、PE(アメリカ勤務)を希望する場合はボスキャリ以外の選択肢は留学生にはありません。そのため、これらを希望する場合、強制的にボストンに行くことになりますので、留学が決まった瞬間からボストンのホテル予約を行いましょう。
コンサル・商社ですと、ロンドンにいればいつでも受けられる環境がありますし、最悪翌年4月のロンドンキャリアフォーラム・バルジョブがあるので、そこで決着をつけるのもいいですし、マッキンゼーあたりは帰国後に受験する制度も整えてあります。BCGは帰国後にジョブを経験することになります。
アジア(上記と地域の被りあり)
PEはサマーインターンを随時受けている会社も結構あるので(下記リンクのTembusu Partnersなど)、ロンドンの準備をしておけば、あとはそのまま書類出してスカイプ面接をしてもらうような形で進めていけば特に問題ないように思います。例えば、下記のような感じです。香港のヘッジファンド(ポートフォリオ・マネージャー、バイサイドアナリスト)と投資銀行のセルサイドアナリストは結構募集しているので、Career Hubのページを見るのも一つの手です。
そんなところでしょうか。キャリアの選択肢が多様すぎるがために迷うことも多々あるかもしれませんが、人からどう見られるか、というよりは、「あなたは何がしたいのか?」という本質的思考に基づいて就職活動をすることをお勧めします。皆が羨ましいと思っても、自分が幸せでなければ何の意味もありませんし、人生を無駄にしてしまうことにもつながりかねません。”好きこそ物の上手なれ”のような気がします。
by lse_keio_sfc
| 2017-01-17 07:20
| 就活
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