2016年 06月 02日
経済学の立ち位置 |
経済学というと、日本では普通の印象ではないだろうか?法学部が良くて、経済学部や商学部はその次といった印象になるのが一般的であるように思う。日本だと、手に職という印象で、とりあえず、理系か少なくとも社会科学系に行っておけ、という印象を受ける。法学部、経済学部、商学部など、なんでもいいから、伝統的な学部を選んでおけ、というのが現在の日本人の考え方であるように思う。
”日本では”と書いたが、こちらでも伝統的な学部に対する考え方はそう変わるものではなく、経済学部、法学部、政治学部などは人気の科目だ。アメリカでは政治学部は少し下に見られるようだが、こちらでは、人気科目である。特に、オックスフォードが始めた、PPE (Politics, Philosophy and Economics)は大変人気であり、今年からLSEでも始まる。数学で満点、また、AレベルやIBでほぼ満点を取る必要があるというかなり厳しいハードルではあるが。
こちらでの経済学の位置付けは、エリートの選考する学問という位置付けになりつつある。イギリスにしても、アメリカにしても、経済学は同じ大学でも、かなり難しい印象を与える。もちろん、金融学部、法学部や政治学部なども難しいといえば難しいのだが、経済学は特に難しい。というのも、例えば、LSEでPhD in Econを取れば、一生生活には困らないと言われている。世界中でレクチャラーとしての需要は確実にあるだろうし、また、投資銀行やコンサルといった職種もロンドンやニューヨークだと、若干ノンネイティブにはハードルが高いかもしれないが、香港やシンガポールといった国では確実に需要がある。株式調査やトレーダーだけではなく、花形の投資銀行部門でも働けるのではないかと思う。ちなみに、最近現地で働いている人間に聞いたところ、ロンドンのゴールドマンなどの株式調査部門はPhD in Econばかりだと言っていた(ロンドンのリサーチャーの給料は投資銀行部門の×0.75あたりらしい)。
こちらが学歴主義とかいう話を受けるが、学歴主義というよりも、”適材適所”という考え方が浸透しているように思う。バチェラーだと、この職種、マスターだとこれ、MBA、MPAだと〇〇、PhDだと、〇〇といった区分けがされているので、自分が何を目指すかによって学歴を取る必要があるかどうかが決まる、というような感じだ。必ずしも学歴が必要じゃなかったりするところもある。逆に言えば、専攻や学歴によって自分のする仕事がわかるので、何を勉強すればいいのかが明確になっている。つまり、私は〇〇を勉強したので、〇〇で価値が出せますとか、興味がありますとかいうことが言える。また、経験の”適切さ”が問われることが多いので、それに合わせて選ぶ感じだ。ただ、例外もあり、オックスブリッジやLSEの哲学専攻は普通にバンカーとかも目指したりできる。とはいえ、経済学は汎用性が高く、また、数学を多用するので、重宝されやすい。
日本だと、社会科学の一つという扱いかもしれないが、こちらだと、修士以降で経済学を勉強するとすると、学部までに経済学を専攻しておく必要がある。経済学のバックグラウンドなしに経済学を専攻することは不可能である。といった形になっている。そのことから、結構ハードルが高い。可能な限り経済学を専攻しておくというのはもちろん必要で、プラスでトップスクールの学部時代で少なくともGPAで3.6は取っておきたい。加えてロータリー財団の奨学金、IMFなどで賞を取っておきたいといったところか。
ちょっととりとめのない書き方になったが、そんなところか。
by lse_keio_sfc
| 2016-06-02 21:18
| 教育
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